サイレンサー

車やバイクの排気音、ピストルの銃声、夜中の楽器の練習……どれも、周りに音が聞こえたら迷惑になるものばかりです。そんな騒音問題を解消してくれるのがサイレンサーなのです。身の回りにあるサイレンサーにはどのようなものがあるのでしょうか?

サイレンサーとは

サイレンサーは「消音器」といい、その名の通り音を消してくれる装置のことです。車やバイクにはマフラーというサイレンサーが標準で装備されています。しかし、音を消すための構造でエンジンからの排気などの消音の対象となるもの本来の性能が抑えられてしまうというデメリットも存在しています。

サイレンサーの基本原理

サイレンサーは、基本的に多くの孔が空けられた管と吸音材の組合せによって出来ています。いくつもの管の孔から音が逃げ出そうとすると音は高さと音量が弱まります。この弱まった音を吸音材が更に弱めることによって音は限りなく小さくなります。どのくらい小さくなるかと言うと、至近距離に居ないと聞き逃すほどの音量と高さになります。音は更に遠くに行くほど拡散して音量が小さくなるので、サイレンサーを通した騒音は日常的なレベルの雑音にまで低下します。これがサイレンサーの基本原理です。

サイレンサーをつける理由は

車やバイクにサイレンサーを内蔵したマフラーをつける理由は、一言で言うと「生の排気音は日常に馴染まない騒音だから」ということになります。いわゆる珍走団が竹やりマフラーを装備した珍車を走らせているのがわかるように、排気音はとても高く強い音量を持っているのです。一定以上の音量は、聞かされる人の神経を疲れさせる事が判っています。そういう事情もあって、車やバイクはサイレンサーをつける必要があるのです。

サイレンサーの形状は機能に影響を及ぼすのか

前述の珍走団の珍車における竹やりマフラーは、基本的に威圧感のある外見や騒音による自己陶酔のための道具でしかないので、サイレンサーとしての機能性はひとかけらもありません。バイクや車のマフラーを交換する理由は「音」と「速さ」を変える為にあると言われているように、マフラーは大きく車やバイクに影響を及ぼすのです。

ヨシムラの手曲げマフラーの威力

バイクのマフラーで、世界的にも有名なのが「ヨシムラ」の手曲げ集合管と呼ばれるマフラーです。マフラーはエンジンからの排気を一本の管に集めて内蔵されたサイレンサーで消音させながら排気する部品なのですが、ヨシムラのマフラーはエンジンの形に合わせて曲げたエギゾーストパイプを束ねて一つにすることで排気効率を高め、バイクの性能を引き上げることで知られています。ヨシムラの職人芸の結晶ともいうべき手曲げマフラーは世界的にも評価が高くバイクのロードレースにおいても存在感を発揮しています。軽くて高性能で消音効果も抜群のヨシムラのマフラーはライダーの憧れの的となっています。現在はチタンに焼き入れを行った、見た目にも美しい集合管マフラーが販売されています。

銃器におけるサイレンサー

映画「007」シリーズで、ジェームズ・ボンドがサイレンサーを銃口装着した愛銃ワルサーPPKで悪漢たちと戦う姿を見たことのある人は多いのではないでしょうか。銃器におけるサイレンサーは「銃声を消すために装着される」道具で、「サイレンサーを付けていれば銃声は聞こえない」と錯覚している人も多いようです。

銃のサイレンサーの仕組みと効果

銃器におけるサイレンサーは、「銃声が完全に遮断される」訳ではありません。音は隙間があればそこから外に漏れ出すからです。銃器の場合は、セミオートマチックの銃は空薬莢を外に排出する機構があるため、銃口にサイレンサーを装着していても音が出るようになっているのです。また、リボルバー式の拳銃にはサイレンサーは存在しません。隙間だらけで銃口をふさいだとしても音を消しきれないからです。それでもサイレンサーを付ける理由は「撃ってきた方向をわからなくする」ことにあります。弾が飛んできた方向がわかる昼間はまだしも、夕方から夜にかけての時間帯もしくは遮蔽された室内では音が撃ってくる方向や場所の手がかりになるのです。なので、警察などに制式採用されている拳銃はサイレンサーを取り付けることが出来るものが多いのです。

フィクションにおけるサイレンサー

映画やドラマ、漫画においてサイレンサーをつけた拳銃は「プシュッ」という小さな音を立てるかまったく音がしないかなどの演出を受けることが往々にしてあります。また、枕や羽毛のクッションを銃口の前において音を消すという演出も見られますが、実は枕などはサイレンサーの効果を果たさないのです。しかし、フィクションにおいてはリアリズムを追求しすぎると面白くなくなることが多いので、見逃しておくべきでしょう。

楽器におけるサイレンサー

楽器においてもサイレンサーおよび弱音器(ミュート)が存在しています。サイレンサーもミュートもその目的は「音を小さくする」ことにあります。日本の住宅事情では、楽器練習の音によるトラブルも多く、サイレンサーやミュートは必然と言える道具となっています。

楽器のサイレンサーの構造

楽器のサイレンサーは、弦楽器・管楽器などの種類に応じて様々な形状で提供されています。サイレンサーでもミュートでも基本的には同じで、楽器内部の共鳴によって大きくなる音そのものを小さくするように出来ています。

弦楽器のサイレンサーおよびミュート

弦楽器の場合は、共鳴部ではなく弦を押さえることで音を抑えます。弦楽器による楽曲の中にはミュートを装着した状態での演奏を前提とするものもあります。

管楽器のサイレンサーおよびミュート

管楽器の場合、サイレンサーやミュートは音の出る拡がった口に装着するようになっています。管楽器の場合演奏者の肺活量で音を強く大きくするので、練習用のサイレンサーおよびミュートにはヘッドホンが付属したものもあります。

打楽器・ピアノのサイレンサーおよびミュート

太鼓などの打楽器は、両側の膜の振動を内部の空隙で共鳴増幅するので膜を抑えるものがサイレンサーやミュートの役割を果たします。この場合布などで膜を覆い振動を吸収させて消音・弱音効果を狙います。ピアノの場合、弱音ペダルと呼ばれる内部の弦とハンマーの動きを変えるための機構が備わっているものがあります。近年人気の高まっているピアノの練習に最適な「ハンドロールピアノ」は、電気的に音を作っているのでヘッドホン装着口が備わっています。


音というものは、余りにも日常にありふれたものであるために気を使わなければならない存在です。サイレンサーやマフラー、ミュートは生活に潤いを与え周囲への迷惑を抑えてくれる働き者なのです。


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